‘ビザ(VISA)’ カテゴリーのアーカイブ

入管対象外手続

2013/07/27

今回は、入管-Visaに関する手続で、申請先が入管以外の役所になるもののうち、一般的には知られていないものをいくつか参考の為に列挙しておきます。

1.帰化申請・・・法務局本局

前に当欄でも紹介しましたが、永住申請とは異なり、日本国籍取得の為の「帰化申請」は各地方法務局の本局となります。東京圏内は九段下にある東京法務局となります。

2.夫婦関係調整申請

日本人配偶者となっている方から日本人の夫に他の女性ができて帰ってこないという相談は意外に多いものです。

<1>同居請求・・・住所地の家庭裁判所

日本人配偶者ビザ等の更新、特に1回目の更新では同居の事実確認が行われることが多く、オーバーステイ等の違反暦があればビザ更新時の夫婦関係事実確認は必ずあると覚悟しなければなりません。 何らかの事由で夫が帰ってこないという場合にはこの「同居請求」によって救済されます。
通常結審までに6ヵ月は掛かりますが、この請求を行っていることを証明すれば、入管では同居確認を省略して更新審査を行うようにしています。
結果、同居が実現しないか離婚ということになった場合の特別定住審査は別の問題ですが、この同居請求事実はこの点についても将来有利となります。

<2>扶養請求・・・住所地の家庭裁判所

自分自身に収入がない、子供がいるのに十分な生活費をくれない、という場合も同様に申請できます。あとは、上記①と同様ですが、子供が居る場合で離婚となった場合には扶養請求を行っていなくてもほぼ確実に定住者として子と共に在留できます。

 上記2例はあくまで配偶者の一方が日本人の場合であって、夫婦共に外国籍の場合には日本の裁判所に救済を求めることができません。夫婦関係については当事者の本国の法律が適用されることが国際法的に決まっているからです。(日本では「法律の適用に関する通則法」と云っています。)

3.出入国事実証明・・・法務省秘書課

 例えば義務教育期間中の子供を家族滞在で呼び寄せ、一旦日本の学校に転校させ、新たな事情ができて、再び韓国の学校に再転校する場合で、親は日本に残り子供だけが韓国の実家や親類の家から学校に通うケースでは、健康保険や学校の手続にその子が出国した事実の証明が必要となります。
この場合には、日本法務省秘書課(03-3580-4111)に情報開示請求を行います。その際に親が請求する場合は、韓国大使館日本領事部で「家族関係証明書」を取得する必要があります。
詳しくは入管のHPにあり申請書もダウンロードできますし、郵送申請も可能です。

住宅ローンとビザ

2013/07/27

 マンション価格も一頃より落ち着いており、そろそろ住宅購入をと考えている方も多いのではないでしょうか?
 自己資金が十分にあれば別ですが、通常はその購入資金の大半を銀行などのローンを利用しなければならないことは日本人も外国人も大差ありません。

 外国人の場合は「永住者」等以外はローンを組むことが難しい、ということはよく聞くことではありますし、多くの銀行で貸し出しケースは非常に少ないのが現実です。
 しかしながら、「永住者」でなくとも、その収入状況、在留年数、勤続年数、同居家族状況によって住宅ローン融資が行なわれる事例も少なからずあります。
 ただ残念なことに、「永住者」等でない場合には通常の住宅ローン金利に付加金利、すなわち金利を加算して融資実行する銀行が多い等様々な点で不利益なことが発生する可能性もありますので、「永住権」を取らずに、或いは「永住権」を取る前に住宅購入をお考えの方は注意が必要です。

 こんな事例があります。
 就労ビザで在留する方が自分の生活口座のあるA銀行で「永住者」でないとして断られ、B銀行でローンを組みマンションを購入しました。ただし、先述した付加金利が付いていました。上乗せ利率としてはわずかなパーセンテージですが長期の返済期間では数百万円の返済増加です。
 永住権を取得したら日本人と同等金利になるということで当事務所に永住申請を依頼され半年後無事に永住権取得ということになり、さっそくB銀行にローン金利の見直しを申し入れましたが、一部の手続を除いて新規融資と同等の手続となってしまうこと、そもそも住宅ローンそのものの金利はA銀行が低かった、などの理由があり、結局A銀行にて借り換えました。

 借り換えには相当の費用が掛かります。
(1)早期償還(繰上返済)の違約金(公的金融機関では必要ありませんが、民間金融機関である銀行では名称の違いはあっても十中八九必要となります。)

(2)抵当権設定費用(登記費用等)

(3)保証料(最初の借入時に支払った保証料はその残期間に応じて返却されます)

(4)契約印紙代及び銀行によってはローン契約手数料数万円

借入・早期返済の額にもよりますが最低でも100万から150万円程度必要になります。

 もちろん永い目でみた場合には助かる金利のほうがはるかに多いのが普通ですから、一時的に100万円以上の余計な出費があるとしても、このようなケースでは大抵は借り換えを行なうでしょうが、「永住権」取得を予定している方は「永住者」となってから住宅購入を考えるほうが賢明であるとも云えます。また、上記のような事例で住宅取得減税(所得税の住宅ローン特別控除)の適用を受けられなくなるケースもあることから、十分に注意する必要があります。

帰化手続

2013/07/27

「帰化」について

最近、地方行政の選挙権(市長選や地方議員選)を要望する在留外国人が多い、という報道がありました。国政はさておき、地域の住民としてその地域での選挙に参加する(地方参政権)ことは良いことであり、やがては日本もそのような方向に向かうものと思いますが、現状では参政権を得るには「帰化」する以外に途はありません。

以前に、永住と帰化の申請要件や違いについて触れたことがありますが、今回は「帰化」の具体的な手続の概要を紹介しておきます。(東京法務局の例です。地方ではやや異なる手順のところがあるようです。)

1.(事前相談)九段下にある東京法務局の国籍課(戸籍課)で相談をします。そこでご自身が帰化許可申請の要件を満たしているかどうか確認し提出書類の指示を受けます。
2.(書類準備)帰化動機書、宣誓書などご自身で作成する自信がない場合には専門家に依頼する。
3.(帰化申請)必要書類を揃え申請すると、「連絡票」という紙が渡されます。
これには、(1)受付年月日(2)受付番号(3)担当官(4)申請者名、等が記載されています。
4.(面接出頭)その後(1、2ヵ月)、面談の日時が連絡されます。(手紙又は電話)

面接出頭が一度で済むとは限りませんが、上記のように本人が最低3回法務局へ行かなければなりません。(15歳未満の者はその両親が出頭します。)
結果が出るのは、申請後、早い人では6ヵ月という場合もありますが、一般的には10ヵ月~1年を見るべきでしょう。

<注意すべき点>

・ 事前相談のときに、在留期間などの要件緩和(日本人の配偶者、日本国籍の子の養育事実など)で自分に適合するものがあるかどうかを確認する。
・ 申請人の挙動の全てが審査対象になります。事前相談からそれは始まっていますので、どのような場面でも、言葉を荒げるような興奮気味の態度は控える。
・ 担当する審査官は固定的に決まりますので、好印象を持たれるように、面談時には少なくとも帰化動機など申請書類に記したことは、例えそれが他の人に作成してもらったものであったとしても、何も見ずスラスラ言えるようにする。

専門家に任せてしまえば、自分自身が一度も出頭することなく許可を受けられる永住申請と異なり、帰化申請は本人出頭が大原則です。審査の実体が入管と異なるために、要件緩和を引き出す目的も含めて偽装結婚による帰化申請を行うケースがあり、極度に緊張して挙動不審ととられると審査上非常に不利となります。リラックス(真剣さは必要ですが)して臨みましょう。

永住と帰化(2)

2013/07/27

前回は帰化を中心に記しましたので、今回は永住について触れておきますが、同じく前回、永住権という権利は存在しない、と書きましたが、一般的な認識及び呼び方として「永住権」という言葉が浸透してますので、ここではあえて「永住権」としておきます。

 永住権申請にはどれ位の在留期間が必要となるでしょうか?いつも質問されることです。入管のガイドラインには、期間要件の短縮特例があるものの、原則10年以上となっております。実際にはどうでしょう?皆さんの身近に、通常申請であるにもかかわらず5年とか7年で取れたとか、15年も居るのに却下されたなど、様々な人を見たり聞いたりしたことはありませんか?

実務的には、所得を生じる在留資格(就労や投資経営)で同一種別の最大在留期間(通常は3年)を2回行った時点が最短の目安となります。例えば技術就労で1年、1年、3年ときて次の3年更新が許可された時点で、住民税の納税証明等を3年分用意できるなら「永住権」申請を考えてもよい段階となります。2回目の更新時に「更新」と「永住」申請を同時に申請することも可能です。

もちろん上記要件を満たしたら必ず許可されるわけではありませんが、逆に3年ビザを取得した直後に永住権申請を行える場合もあります。独自の判断では危険ですが、専門家等と相談し要件を満たすと判断できる場合にはチャレンジしてみてもよい、と思います。「永住権」申請は1年に1回程度であれば連続再申請が可能だからです。もっとも実績ある専門家に相談すれば今回取得可能かどうかの判断はつくでしょうから、何回も再申請する場合というのは、専門家の意見をやや無視してあえてチャレンジする場合、もしくは本人申請の場合でしょうが・・・。
 
 次に審査期間はどれ位でしょうか?入管では標準審査期間を6か月としていますが、これはほとんどそのとおりと考えてよい、と思います。4か月弱で出たこともありますが、一般的に永住審査は他の在留資格と異なり、行政書士等が行ったとしても目立って審査期間が短くなるという印象はありません。おもしろい事例として、帰化と永住の同時申請を行い、永住のほうが6か月以上掛かり、通常1年位は掛かる帰化の許可が先に出てしまった事例もあります。

 いずれにせよ、帰化と永住の違いをよく認識し、自分自身の目的や事情に合ったものを選択すべきです。帰化は日本人になることと同義ですが、永住権はあくまでも外国人のままですから、ビザの更新はないものの、出国して入国する場合には再入国許可(通常は3年数次)が必要でありその更新も当然必要となります。また、永住権申請上特に気をつけなければならない点として、従来の在留資格の取得・変更等の申請時に提出した経歴に相違点がないようにしなければなりません。しかも、これが意外にもかなり多いのです。本人申請でこのような不明朗記載による不許可事例では、不許可を撤回する為の証明資料準備や事情説明に手間と費用が掛かるだけでなく、許可を取り付けることが不可能となる場合もあります。

永住と帰化(その1)

2013/07/27

既に「就労」ビザや「投資・経営」ビザを取得して在留している外国人の方から、暫くすると必ずといって良いほど、「永住権を取得したい」「帰化申請を考えているのですが」と聞かれます。

 まず、ここで注意しなければならないことは永住権という「権利」は存在しない、ということです。職業の自由や、ビザ更新を必要としないという点でいかにも「権利」と誤解されがちですが、あくまで在留資格の一種別であり、行政手続上「永住を許可された」に過ぎないのです。この点、日本国籍を取得する法律行為から日本国民としての権利を取得する「帰化」とは全く異なるのです。
 「永住許可」申請は他の在留資格同様に入国管理局に行いますが、「帰化」申請は東京法務局等住所地を管轄する法務局宛て行う、ということからもその違いは歴然としています。

 「永住」については次回に任せるとして、今回は「帰化」について触れてみたいと思います。帰化には手続緩和の順に(1)簡易帰化(日本人の子や日本人の配偶者等一定の者)(2)普通帰化(3)大帰化(法務大臣認定を経て国会承認。公式には事例はない。)とありますが、
ここでは一般的な「普通帰化」について記しておきます。

普通帰化(日本国籍取得)

帰化すると、職業の自由(国家公務員なども含む)が保証され、選挙権も得られる等、日本国民としての権利が保証されます。つまり、日本人になるということです。
それ故、審査は極めて厳格であり、審査期間は1年以上掛かるというのが普通です。

■要件(国籍法第5条)-略記しています。

(1)居住要件・・・5年以上日本に住所を有すること (注意:あくまで法律上5年となっているだけで、有名スポーツ選手や学者等でない限り、ごく普通の外国人が実務上5年で帰化を認められることは稀です)
(1)能力要件・・・20歳以上で、日本の法律上の能力を有すること(つまり、禁治産者などの「欠格者」でないこと)
(2)素行要件・・・素行が善良であること(法律違反がないこと、公序良俗に反する職業等に就いていないこと等)
(3)生計要件・・・経済的に自立できること
(4)喪失要件・・・元の国籍を失うべきこと(元の国家が消滅した場合を除き、日本と正常な国交がない国籍からの帰化はできません-例:朝鮮民主主義人民共和国「北朝鮮」など)
(5)思想要件・・・思想・信条は自由ですが、いわゆるテロ活動に類する団体に加入したり、関与していない、ということです
(6)日本語の読み書きができること・・・実際に本人出頭の上、面談審査があります

家族滞在と資格外活動

2013/07/27

「家族滞在」によって親や兄弟姉妹を呼べないことはよく知られていますが、子であれば成人していても「家族滞在」によるビザ取得が問題なく可能であることを知っている方は意外にもそう多くないのが現状です。 しかし、この制度は法の趣旨とは無関係に、現実には学歴その他の要件から就労ビザ取得が難しいケースに利用されることが多く、実際に「資格外活動」許可を得て働く人は多いようです。

上記に関連してこんな事例がありました。 ある会社社長が会社経営が軌道にのってきたこともあり、韓国から奥さんを呼ぼうとした際に成人した息子も一緒にということで相談がありました。

聞くと、とにかく勉強嫌いで高校も中退、いくつかアルバイト経験はあるもののほとんど職歴というものがないことから、当初希望した自分の会社への就職による就労ビザは断念してもらい、結局家族滞在によるビザを取得しました。 親は日本語学校から始めて少なくとも日本で高卒の資格をと願ったようですが、本人は資格外活動許可をとり、ある飲食店でホール係のアルバイトを始めました。ここまではよくある話です。
それから約1年、日頃息子の話はあまりしたがらなかった社長でしたが、よほど嬉しかったのでしょう、自分の方から「今度店長に抜擢されて、給料も上がって・・・」と話がありました。
就労ビザを取り直した上での店長昇格であるならば共に喜んであげなければならないケースですが、事はそう簡単ではありません。「資格外活動」つまりアルバイト・パート状態での店長です。

日本でも近時、主に外食産業でアルバイト身分のまま店長になるケースもあり、多様化した労使関係からむしろ人件費の面で会社側にもメリットがある等、むしろ好ましいケースとして受け取られることが多いようですが、外国人の場合は異なります。
アルバイトであろうがなかろうが店長になることに何の問題もありません。それだけ一生懸命働いているということですから。しかし、外国人の「資格外活動」の場合には逆にこの事が問題になります。資格外活動で許可された時間の勤務だけで店長になれるのか?という問題です。ただでさえ営業時間が永く休日の少ない飲食店で、週28時間内の勤務だけで店長抜擢は常識的に考え難いということです。就労時間の違反が推定されるであろうし、少なくとも疑われた場合には弁明するのは至難でしょう。

店長等になることは確かに喜ばしいことではあり辞退する必要もないことですが、その場合には店長であることをあまり声高に云わないことが肝要です。また、職制上の身分がどうあろうと、「資格外活動」のままでは入管上のキャリアは形成できないということにも留意すべきです。

永住権のちょっとした不便

2013/07/27

さて、在留期間更新の要らない「永住権」はあいかわらず人気ではありますが、永住権を取得した方が韓国に帰ってくるとグチをこぼすことの一つに、「身分証明ができない」ということがあります。
「戸籍が抹消される」という表現を使う方もいますが、日本においては有り得ないことなので、国の違いはあるものの先の表現が正しいのだと思います。

前にもこの場で触れましたが、日本に帰化しない限り韓国の国籍を喪失することがなく、日本の永住権は米国のグリーンカードに限りなく近いものであることから、様々な行政手続上、特にその人の財産権に関る事柄については国内に在住する自国民と同様の扱いをするべきでありますし、また、その為に、「似て非なるもの」である「帰化」と「永住」を明確に区別しているわけです。

不動産など財産に掛かる税金面でも、韓国から見ての外国永住者のみならず就労などによる長期海外在留者に対して不利な扱いをするという話も聞きますし、非居住者(海外に在留する国民)の扱いはその国その国で大きく異なるのが通常です。特に永住権者の場合は、そのほとんどが許可を受ける為の要件成就の為の様々な苦労を伴いますので、永住申請をされる方は身近な永住者のお話を聞くなどして申請するかどうかを十分に考えてから行ってください。

日本における永住権を放棄して韓国に帰れば、先の不利な側面は当然に復権しますが、例えば就労による在留資格認定の場合には過去の就労在留資格の実績が有利に働くことは疑いのない事実ではありますが、永住権を一旦放棄して韓国に帰り再び日本の永住権を取得しようとする場合には、ほぼ最初からやり直し、と考えたほうが良いでしょう。