消費税増税と会計ソフト

消費税増税を見越して、会計ソフトの見直しや更新購入の時期をいつにしたらいいか?という問い合わせがぼつぼつ目立ってきました。

消費税増税ももう秒読み段階と云っていいでしょう。
いわゆる景気条項があり、最終判断はこの秋ということになっています。
予定通りとなれば、来年4月から新税率8%となり再来年には10%となります。

市販の会計ソフトを使って自社で帳簿入力しているところも多いかと思います。
またそれによって、日頃から売上や費用などを税抜金額で把握し、経営上の計数管理に役立てているところも多いと思います。
このような会社にとって、消費税率改定時の会計ソフトの消費税率設定は、やはり気になるところです。

といっても、税率の自由設定ができる市販会計ソフトは、ほとんどないというのが現状です。
毎年会費を払いメンテナンス契約していれば、その費用の内か、かなり低額でタイムリーにプログラムやテーブルを更新できるでしょう。

しかし、税法上の扱いがめまぐるしく変わる専門的な税務ソフトが付随していない限り、一般的な会計ソフトはそこそこ長期に使うことが可能です。
このことを踏まえて、拘束的なメンテナンス契約はせず、重要な改訂などがあったときに再度新規購入しようとするスタンスの方(会社)も多いでしょう。
この場合、今回の消費税率引き上げは、ちょうど自社の会計ソフトのバージョンアップ、買い換えの時機となります。

では、実際にはいつ会計ソフトを買い換えるべきでしょう。
①会計ソフトの仕様(又は販売方法)、②自社の状況でその時期は当然変わってきます。
以下は、予定通り平成26年4月に8%、平成27年10月に10%となる場合です。

①会計ソフトの仕様(又は販売方法)よる選択

・8%から10%と2段階増税が既定路線である為、新バージョン発売時点で税率10%が既に設定されているか、10%バージョン発売時には無償でバージョン・アップする保証があれば、その購入時期にはそう悩む必要はないでしょう。
税率設定はこの場合3%、5%、8%、10%の4段階となります。

※本題から逸れてしまいますが、3%の税率が会計ソフトにも当の申告書記載欄にもいまだに残っているのを不思議に思う方は多いと思います。
3%の消費品目は確かに存在しませんが、3%から5%に税率アップしたときに「経過措置」が設けられ、長期の資産の貸付や有料老人ホームなどの入居金などの期間配分でいまだに消費税3%で計算すべき収益や費用があることがその理由です。

・10%バージョン発売時に、割引はあるものの多少なりともバージョン・アップ料金が必要となる場合は、これは少し考えますね。
その料金額を勘案して、8%の税率設定がない状態(瞬時に正しい税抜金額をソフトのデータ上確認できない状態)をどこまで我慢できるかという問題だと思います。
次の、自社の状況で判断することになるでしょう。

②自社の状況による選択

・税抜経理か税込経理かで異なります。
税抜経理であっても期末一括処理による「税抜経理」の場合は、この選択判断の材料としては「税込経理」と考えていいでしょう。
税込経理の場合は、下記に触れる「3月決算会社」と「消費税申告を自社でその会計ソフトを使って行う会社」以外は、10%バージョン・アップが有料の場合は、その10%バージョン発売まで待っても問題ないでしょう。

・税込経理であっても、3月決算会社はその税率アップの開始時期と事業年度開始日(期首日)がピッタリ一致しますから10%バージョンアップが例え有料であっても、前向き検討していいのではないでしょうか。
また、少ないとは思いますが、消費税申告を自社で行う会社は8%バージョンから導入すべきことはいうまでもありません。
最近の市販会計ソフトは消費税申告(又は申告資料)の作成まで可能なものが多いため、きちんと5%のもの、8%のものと切り分けてデータ集計してくれる機能を使わない手はないからです。

・完全税抜経理の場合は、例え有料になろうともバージョン毎に買い換えるか、或はこの機に(計算上得であれば)メンテナンス会員になるのも一つの選択肢です。
完全税抜経理(入力)をしている会社は、そうする目的が必ずあるはずですから、いずれにせよタイムリーな新バージョンを導入することを薦めます。

※尚、今回の参院選で「ねじれ国会」が解消された為、今秋の政府判断で増税時期が先送りされることがあっても、「増税取り止め」ということはまず無くなったと見るべきでしょう。
万一、増税時期が先送りされて1年延期になったとしても、その1年半後には必ず10%になります。
実施時期を先送りする景気条項はありますが、税率そのものの見直しも2段階増税のスケジュール変更も盛り込まれてはいないからです。

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