永住権のちょっとした不便
さて、在留期間更新の要らない「永住権」はあいかわらず人気ではありますが、永住権を取得した方が韓国に帰ってくるとグチをこぼすことの一つに、「身分証明ができない」ということがあります。
「戸籍が抹消される」という表現を使う方もいますが、日本においては有り得ないことなので、国の違いはあるものの先の表現が正しいのだと思います。
前にもこの場で触れましたが、日本に帰化しない限り韓国の国籍を喪失することがなく、日本の永住権は米国のグリーンカードに限りなく近いものであることから、様々な行政手続上、特にその人の財産権に関る事柄については国内に在住する自国民と同様の扱いをするべきでありますし、また、その為に、「似て非なるもの」である「帰化」と「永住」を明確に区別しているわけです。
不動産など財産に掛かる税金面でも、韓国から見ての外国永住者のみならず就労などによる長期海外在留者に対して不利な扱いをするという話も聞きますし、非居住者(海外に在留する国民)の扱いはその国その国で大きく異なるのが通常です。特に永住権者の場合は、そのほとんどが許可を受ける為の要件成就の為の様々な苦労を伴いますので、永住申請をされる方は身近な永住者のお話を聞くなどして申請するかどうかを十分に考えてから行ってください。
日本における永住権を放棄して韓国に帰れば、先の不利な側面は当然に復権しますが、例えば就労による在留資格認定の場合には過去の就労在留資格の実績が有利に働くことは疑いのない事実ではありますが、永住権を一旦放棄して韓国に帰り再び日本の永住権を取得しようとする場合には、ほぼ最初からやり直し、と考えたほうが良いでしょう。