永住と帰化(2)

前回は帰化を中心に記しましたので、今回は永住について触れておきますが、同じく前回、永住権という権利は存在しない、と書きましたが、一般的な認識及び呼び方として「永住権」という言葉が浸透してますので、ここではあえて「永住権」としておきます。

 永住権申請にはどれ位の在留期間が必要となるでしょうか?いつも質問されることです。入管のガイドラインには、期間要件の短縮特例があるものの、原則10年以上となっております。実際にはどうでしょう?皆さんの身近に、通常申請であるにもかかわらず5年とか7年で取れたとか、15年も居るのに却下されたなど、様々な人を見たり聞いたりしたことはありませんか?

実務的には、所得を生じる在留資格(就労や投資経営)で同一種別の最大在留期間(通常は3年)を2回行った時点が最短の目安となります。例えば技術就労で1年、1年、3年ときて次の3年更新が許可された時点で、住民税の納税証明等を3年分用意できるなら「永住権」申請を考えてもよい段階となります。2回目の更新時に「更新」と「永住」申請を同時に申請することも可能です。

もちろん上記要件を満たしたら必ず許可されるわけではありませんが、逆に3年ビザを取得した直後に永住権申請を行える場合もあります。独自の判断では危険ですが、専門家等と相談し要件を満たすと判断できる場合にはチャレンジしてみてもよい、と思います。「永住権」申請は1年に1回程度であれば連続再申請が可能だからです。もっとも実績ある専門家に相談すれば今回取得可能かどうかの判断はつくでしょうから、何回も再申請する場合というのは、専門家の意見をやや無視してあえてチャレンジする場合、もしくは本人申請の場合でしょうが・・・。
 
 次に審査期間はどれ位でしょうか?入管では標準審査期間を6か月としていますが、これはほとんどそのとおりと考えてよい、と思います。4か月弱で出たこともありますが、一般的に永住審査は他の在留資格と異なり、行政書士等が行ったとしても目立って審査期間が短くなるという印象はありません。おもしろい事例として、帰化と永住の同時申請を行い、永住のほうが6か月以上掛かり、通常1年位は掛かる帰化の許可が先に出てしまった事例もあります。

 いずれにせよ、帰化と永住の違いをよく認識し、自分自身の目的や事情に合ったものを選択すべきです。帰化は日本人になることと同義ですが、永住権はあくまでも外国人のままですから、ビザの更新はないものの、出国して入国する場合には再入国許可(通常は3年数次)が必要でありその更新も当然必要となります。また、永住権申請上特に気をつけなければならない点として、従来の在留資格の取得・変更等の申請時に提出した経歴に相違点がないようにしなければなりません。しかも、これが意外にもかなり多いのです。本人申請でこのような不明朗記載による不許可事例では、不許可を撤回する為の証明資料準備や事情説明に手間と費用が掛かるだけでなく、許可を取り付けることが不可能となる場合もあります。

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