住宅ローンとビザ
マンション価格も一頃より落ち着いており、そろそろ住宅購入をと考えている方も多いのではないでしょうか?
自己資金が十分にあれば別ですが、通常はその購入資金の大半を銀行などのローンを利用しなければならないことは日本人も外国人も大差ありません。
外国人の場合は「永住者」等以外はローンを組むことが難しい、ということはよく聞くことではありますし、多くの銀行で貸し出しケースは非常に少ないのが現実です。
しかしながら、「永住者」でなくとも、その収入状況、在留年数、勤続年数、同居家族状況によって住宅ローン融資が行なわれる事例も少なからずあります。
ただ残念なことに、「永住者」等でない場合には通常の住宅ローン金利に付加金利、すなわち金利を加算して融資実行する銀行が多い等様々な点で不利益なことが発生する可能性もありますので、「永住権」を取らずに、或いは「永住権」を取る前に住宅購入をお考えの方は注意が必要です。
こんな事例があります。
就労ビザで在留する方が自分の生活口座のあるA銀行で「永住者」でないとして断られ、B銀行でローンを組みマンションを購入しました。ただし、先述した付加金利が付いていました。上乗せ利率としてはわずかなパーセンテージですが長期の返済期間では数百万円の返済増加です。
永住権を取得したら日本人と同等金利になるということで当事務所に永住申請を依頼され半年後無事に永住権取得ということになり、さっそくB銀行にローン金利の見直しを申し入れましたが、一部の手続を除いて新規融資と同等の手続となってしまうこと、そもそも住宅ローンそのものの金利はA銀行が低かった、などの理由があり、結局A銀行にて借り換えました。
借り換えには相当の費用が掛かります。
(1)早期償還(繰上返済)の違約金(公的金融機関では必要ありませんが、民間金融機関である銀行では名称の違いはあっても十中八九必要となります。)
(2)抵当権設定費用(登記費用等)
(3)保証料(最初の借入時に支払った保証料はその残期間に応じて返却されます)
(4)契約印紙代及び銀行によってはローン契約手数料数万円
借入・早期返済の額にもよりますが最低でも100万から150万円程度必要になります。
もちろん永い目でみた場合には助かる金利のほうがはるかに多いのが普通ですから、一時的に100万円以上の余計な出費があるとしても、このようなケースでは大抵は借り換えを行なうでしょうが、「永住権」取得を予定している方は「永住者」となってから住宅購入を考えるほうが賢明であるとも云えます。また、上記のような事例で住宅取得減税(所得税の住宅ローン特別控除)の適用を受けられなくなるケースもあることから、十分に注意する必要があります。